平安時代の重ね色目に見られるように絵模様の持つ意味合いは当初は季節感でした。
季節感といっても季節をめでるというだけでなく、偉大な自然の力にあやかるという信仰心の方が勝っていました。
吉祥、有職模様は自然の息吹を絵模様の題材にしたもので、あやかるという美意識は東洋人特有のものです。
江戸時代までの絵模様は吉祥と季節感によるのものでしたが、江戸時代の中期以降になりますと次のような絵模様が加わってきます。
(1)伝説、伝承、故事、諺などによる絵模様
(2)年中行事に関連した絵模様
(3)物語、詩歌などに取材したもの
(4)歌枕、名所の風景を現したもの 近江八景、須磨明石、日本三景(天の橋立、松島、厳島) 淀、住吉、宇治、吉原などです。
(5)俗信 蛤の年を経たものが海中で気を吐くと蜃気楼があらわれる といったようなこと。
(6)判じ物的なもの 上図の下中の芝翫縞(しかんじま)は四つの縞と鐶(かん)つなぎを合わせたもので「しかん」と洒落ています。 歌舞伎役者の三代目中村歌右衛門が作った縞です
吉祥模様や有職模様のいわれを探っていますと、古代から人はどう生きるべきかの思考が垣間見られて楽しいですよ。
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