扇には檜の薄板で作った檜扇(ひおうぎ=緋扇)と、蝙蝠(かわほり)と言って竹・木・鉄などを骨にした扇があります。
扇を手に持つのは奈良時代から正装時の構成の一つに数えられていて、奈良時代・平安時代前期には上記の絵にあるように團扇(だんせん)と言ってうちわ状のものを持っていました。
平安時代中期以降は唐衣裳(十二単)が実質的には正装になります。正装の時は容儀を整えるために檜扇をもつのが定めになりました。
扇には正装の時に持つ檜扇と衵扇(あこめおうぎ)とがあります。衣冠や直衣の時は橋数の少ない衵扇をもちます。 また普段の時は絵にある五本骨の扇を持ちます。後に中浮(ぼんぼり)または中啓(ちゅうけい)というものに変わります。
檜扇は男子は衵扇共に無地ですが、女子の扇は檜扇・衵扇共に極彩色に描かれています。
女子の檜扇は男児の橋数よりも多く三十九橋で、霞・雲形・桐・鳳凰・梅・竹・松・尾長鳥などが色鮮やかに描かれていますので、女性の檜扇は緋扇と呼ばれるようになったものと思われます。
正装の時には容儀を整えるために扇を持つのは習わしです。現在も留袖の時には左胸の位置で帯に扇を差し込んでおきますが、あれはそのままに差しておくだけでなく、御挨拶の時には扇を必ず持って御挨拶をするためにありますので、そのことを忘れないで下さい。
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