2011年3月8日火曜日

自然と日本人の美意識


 日本の衣服史上を見てみますと華やかな色彩の衣服が流布した時代はあります。
平安時代の藤原時代、安土桃山時代、元禄時代で元禄時代以降は財政逼迫期に入り、奢侈禁止令によって贅沢を抑制されましたので、文化文政期以降は一般人の好みは茶、黒、鼠などの渋い色が好まれるようになりました。
 経済という時代背景に影響されるところも大きかったようですが、日本人は茶系統、鼠色系統、紺系統等の色目の衣服を着装しますと何か落ち着くのでしょうね。
 額田王が春と秋を比較して秋に軍配を上げていますが、そのことに象徴されるようにどちらかというと秋の方が好きという人の方が多いのです。秋は色が褪せて行く季節ですから、色で言えば茶色系統や紺系統や鼠系統ですよね。
あまり派手ではない茶系統や鼠色系統や暗い藤色系統や黒色系統を着ていると落ちくのです。
これは日本の四季に大いに感化された好みであると言えます。
それと同時に東洋人独特の陰鬱な顔つきが影響しています。
 自分の顔を何時も見ていますので陰鬱な顔つきに、派手な色が合わないという事を理屈抜きに肌で感じ取っているのだと思います。
 私は武庫川女学院の町内に住んでいましたので、通学してくる生徒を数多く見ていますが、若いのに着ている衣服の色は白、黒、茶系統、紺系統、グレー系統の渋い色を着ている人が圧倒的です。
普段渋い色の衣服を着ていますので、急に派手な色目の衣服を着ますと浮いてしまって身にそぐわないで退けてしまったという経験をされた覚えがあると思います。
 ところでグリーンは色目としては好きだという人が多いのですが、グリーン系統の色目の衣服を着ている人は少ないですね。日本は四季に恵まれ山も多く比較的グリーンが多いので、無意識にかぶってしまうのを避けているのではないかと思います。
こういう美意識も国民性の一環なんでしょうね。

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