2010年10月29日金曜日
産着と宮参り
上図の産着はお客様の所に着せつけに伺った時に、今となっては大変貴重なものですから写真を取らせて頂きました。
紋の上から五色の糸で真っ直ぐ下に縫った糸と、左の方向に分かれて縫ってある二股の糸があるのが確認して頂けるとおもいます。
二股に分かれている斜めの糸の端は赤ちゃんにつながている方で、真っ直ぐに縫われている端は神様につながっています。
男の子は左斜め方向に縫い、女の子は右斜め方向に縫うことになっています。
これは赤ちゃんが災難にあったときは、その糸を神様が引っ張って助けてくれるという謂れから、昔は男女共に産着には必ず守り糸を縫いつけました。
男の子と女の子の縫い方は異なっていて、女の子は男の子と逆に五色の糸を表に現れるように縫いつけます。その糸の先につながっている神様は氏神です。
最近はそういう謂れを御存知ない人が多くなっています。売る方の呉服屋も知らないので守り糸の謂れは廃ってきています。
宮参りは無事に子供が生まれたことに感謝し、子供のこれからの無事を祈念する儀礼です。
男の子は生まれて31日目に、女の子は33日目に産土神(うぶすなかみ=氏神)に初めて参拝するもので、産土詣り(うぶすなまいり)とも言います。
男の子は逞しく生育することを願って、富士山や鷹などの絵柄を染めた産着を着ます。
女の子はこれから美しく咲きほこって成長して行く、春の花卉の絵柄を染めたものを着ます。
大変繊細な日本人の美意識がこういうところに現われています。
最近は産土詣りを無視して有名な神社に参拝される人が多くなっています。
何かあった時には最も赤ちゃんに身近な氏神様が守ってくれるのですから、氏神様に参拝をしなければ意味がないのです。。
神様が守ってくれるなんて迷信で何処に行っても一緒だというのであれば、初めから宮詣りなどはしなければよいのです。
本当に赤ちゃんのことを心配して神頼みをするのであれば、宮詣りの原点に戻って産土神に参拝しなければ神頼みにはならないのです。
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