2010年11月17日水曜日
長着の生地
長着というのは大人用の本身の着物の事です。
長着用の高級白生地といえば羽二重、綸子、縮緬がその代表です。
・羽二重=
平織り組織ですが、筬(おさ)といって経糸を整理するものがあります。その筬に経糸を二本入れて整経して、経糸に緯糸を交互にくぐらせて織りますのでその名前があます。
上品な光沢のある柔かい織物です。男子の高級衣料の紋付はこの羽二重が用いられます。
・綸子=
上図左の地模様のあるのが綸子です。
紋織は経糸何本かに対して緯糸を一本くぐらせるというように織って、糸の交錯を不均衡にして経糸と緯糸の浮き沈みで模様を織り出すものです。
繻子組織といいますが、今はコンピューターでジャガードが簡単にできます。
ジャガードというのは紋紙に穴を空けて経糸を自動的に上げ下げされるものです。
これが出来るまでは柱の梁の上に乗って腹這いになって、人が経糸を上げ下げさせて織りました。従って、機の前に座っている人より梁の上で経糸を上げ下げする人の方が上級者であったのです。そんな大変な工程で織ったものですから、大変な高級品で支配者階級の上級者しか用いることができませんでした。
・縮緬=
緯糸に糊を付けて1mに対して3500~5000mの撚りを掛けて強撚糸に仕上げます。撚糸には右撚糸と左撚糸があり、それを交互に、即ち平織りに織った織物です。平織りですから朱子織よりも手間が掛からなかったのでその分安くなり、町人の礼装はこの縮緬が主になりました。
縮緬は撚糸を使用していますので幅は縮ます。幅は広く織って整理して普通の反物の幅にします。
整理すると撚糸によって畝が表面に出来ます。それが縮緬の特徴です。
封建社会では男尊女卑ですから、男性が用いる羽二重が最上級で、次いで高級な綸子が次位で、支配者階級の下級者や一般庶民は専ら縮緬を用いました。そんなところから、一位に羽二重、二位に綸子、三位に縮緬というように白生地にも昔は格式が存在していました。
高級織物は綸子を用いられることが多く、帯揚げも同様で礼盛装、染物の着物には綸子の帯揚げを用いるという約束事がありました。
礼盛装、柔らか物を着用した時は帯揚げは必ず綸子の帯揚げと決まっていたのですが、最近はそういう事を知っている人は少なくなり色さえあえば何でもありになっています
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